ISO14000のポイント解説 
2001/07/04 更新


 ISO14000sは1996年に発行された環境マネジメントシステムです。ISO14001を構築するにあたってのポイントを示します。ご質問等はお気軽にメールまたは電話でお寄せください。

1.典型7公害と地球環境9問題
     ISO14000で削減と防止に取り組む主な典型7公害と地球環境9問題は以下に示すものである。

    典型7公害
    大気汚染
    水質汚濁
    騒音
    振動
    悪臭
    土壌汚染
    地盤沈下
    地球環境9問題オゾン層破壊
    地球温暖化
    砂漠化
    酸性雨
    有害物の越境化
    熱帯林の減少
    野生生物種の減少
    海洋汚染
    開発途上国公害問題


2.地球環境9問題・解説

2.1 オゾン層の破壊
    (1) 破壊のメカニズム
     フロン等の塩素化合物がオゾン層に到達し、紫外線でフロンが分解され、その結果生じた塩素がオゾンを分解する。
    (2) オゾン層破壊の影響
     オゾンは人体に有害な紫外線(紫外線の中でも波長の短いもの)を遮断しているが、これが破壊されるとこの人体に有害な紫外線が地上に到達する。
     地表に到達した有害な紫外線は、動植物の成長を妨げるだけでなく、遺伝子をも傷つけ、子孫にまで影響を与えてしまう。また水中のプランクトンにも致命的打撃を与えてしまう。
     その結果、作物減収、漁獲量減、皮膚がんの増加、白内障の増加などの影響を与える(オゾン層の1%の減少で、有害な紫外線が2%増加し、皮膚がんが10%増加すると言われている)。
    (3) 解決への道
     オゾン層を破壊する物質(フロン等)を作らない、使わない

2.2 地球温暖化
    (1) 温暖化のメカニズム
     二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスは、昼間太陽からの赤外線を透過させ地球を暖め、逆に地表からの赤外線は吸収して、昼間の温度上昇分の温度低下を食い止めてしまう。
     この結果、温室効果ガスが増えると地球は暖かくなってしまう。
    (2)地球温暖化の影響
     南極や北極の解氷や海水の熱膨張で、海面が上昇し、低地が水没してしまう。
     さらに異常気象をひきおこし、干ばつや大雨が多発し、作物が減収となる。また種の減少をもたらし、生態系への影響もある。
    (3) 解決への道
     省エネ、リサイクル、ゴミの削減、さらに代替エネルギ(太陽熱、風力、原子力等)の利用など(→石油、石炭消費量の抑制)

2.3 熱帯林の減少
    (1) 減少の要因
     商業用としての伐採、農牧地への転用、焼畑農業
    (2) 熱帯林減少の影響
     1) 炭酸ガスの増加(木を燃やすことによる増加と、炭酸ガス吸収源の減少による増加)
     2) 生物種の減少(熱帯林は生物種の宝庫)
     3) 気候の不安定化
     4) 水源の枯渇、洪水の多発、山地の侵食・崩壊
    (3) 解決への道
     1) 紙消費量の削減
     2) リサイクルの促進
     3) バイオテクノロジーの利用

2.4 有害廃棄物の越境移動
    (1) 現象
     有害物質やそれを含む廃棄物の不適正処分、及び国境を越えた有害廃棄物の移動に起因した環境汚染
    (2) 影響
     1) 有害廃棄物の不適正処分による土壌・河川・湖沼・海洋の汚染
     2) 洗浄剤等のこぼれによる地下浸透、井戸水の汚染、水道水の汚染、湖の魚などの汚染、海産物の汚染、農作物の汚染など(食物連鎖)
     3) 水銀を含む乾電池が機器と一緒に廃棄され、埋め立て処分場周辺を汚染。
     4) 有機水銀による水俣病、カドミウムによるイタイイタイ病に発生。
    (3) 解決への道
     1) 3Rの推進
          Reject : 有害物質は使わない
          Reduce : 有害物質の使用を少なくする
          Recycle : 有害物質を回収して再使用
     2) 回収責任者の明確化、再生処理業者の育成、デポジット制など回収システムの確立

2.5 酸性雨
    (1) 酸性雨発生のメカニズム
     石油や石炭を燃やすと、硫黄酸化物SOxや窒素酸化物NOxが排出される。SOxやNOxは上空で太陽光によりそれぞれ硫酸、硝酸に変化する。これが雨とともに降ってくるpH5.6以下の雨をいう。
    (2) 影響
     1) 森林の樹木を枯らす。
     2) 湖沼の微生物や魚類を死滅させる。
     3) 土壌が酸性化し、作物の減収となる。
     4) 文化財が溶ける。
    (3) 解決への道
     1) 石油・石炭の使用制限
     2) 排ガス処理の技術開発(脱硫、脱硝設備等)
     3) 石油・石炭の脱硫、脱硝技術開発

2.6 海洋汚染
     汚染物質の河川流入、廃棄物の海洋投棄、事故による油の流出などによる海洋の汚染が、赤潮の発生、油臭い魚、死滅などの生態系へ影響を及ぼしていること。

2.7 発展途上国の公害問題
     発展途上国では貧困を解消したいために経済優先政策となりがちであり、それが公害対策を後回しにさせてしまう。そのため、
    1) 中国では石炭の大量消費のため、大気汚染・酸性雨がひどい。
    2) タイ、メキシコシティでは自動車による大気汚染がひどい。
    3) アジア、アフリカの各地で廃棄物が投棄されている。
    などの問題が起こっている。

2.8 砂漠化
     家畜の過放牧、薪の過剰採取などにより草木が減少し、その結果保水力がなくなり、草木が育たなくなり、砂漠化が促進されてしまう。
     そのことが作物の減収や気候変動の激しさを増してしまう。

2.9 動植物の種の減少
     熱帯林その他の無秩序な開発が、生物の生息域の減少や絶滅を招いている。

 上記に示したような地球環境を保護し、各組織体が自己の範囲内で環境を維持し、継続的に改善する為のしくみを作る統一的なやり方としてISO14000に規格化されたのである。


3.ISO14000規格体系
     ISO14000は下表の規格体系で構成されているが、審査・登録を行うのは、このうちISO14001のみである。

    項目
    規格
    題名
    EMS
    (環境マネジメントシステム)
    14001
    環境マネジメントシステム・仕様及び利用の手引き
    14004
    環境マネジメントシステム・原則、システム及び支援技法の一般指針
    評価・監査ツール
    14010
    一般原則
    14011
    監査手順
    14012
    環境監査員の資格基準
    支援ツール
    (ライフサイクルアセスメント)
    14040
    一般原則
    14041
    インベントリー分析、一般
    14049
    インベントリー分析、特定
    14042
    影響評価
    14043
    解釈
    支援ツール
    (環境ラベル)
    14020
    一般原則
    14021
    自己宣言による環境主張、用語と定義、シンボル、試験検査方法
    14024
    第三者認証による原則と実施方法
    14025
    タイプ3


4.ISO14000・環境マネジメントシステムEMSの基本コンセプト
       EMS構築の基本的なコンセプトは、EMSに基づき我々一人一人が、Think globally, act locally : 「地球規模で考え、身近なところで行動する」ことである。
      1.目的  持続的発展 : 省資源、省エネルギーの推進、廃棄物の削減
             継続的改善 : 騒音、振動、臭気等のマネジメント
      2.手法  PDCA :目標管理

5. ISO14001取得のメリット/デメリット
 
メリット社会的責務の遂行 地球環境問題を認識し、環境改善を促進する
環境悪影響の減少、及び改善(廃棄物低減)
組織体のイメージアップ 利害関係者からの評価
顧客信頼の確保
従業員の意識改革環境保全への理解/意識の高揚
環境パスポート 海外顧客支持による、輸出競争優位性の確保
消費者支持による、市場競争での優位性確保
国、地方自治体要請への対応
経営体質改善 事業活動に対する環境意識の向上
役割、責任の所在の明確化、組織的活性化
管理運用手法蓄積による効率的事業運営
経済的効果 省エネ、省資源による経費節減
業務見直し、改善による経済的波及効果
作業改善による生産性の向上
資金の確保(保険料、エコファンド、融資制度)
グリーン調達 自社グリーン調達基準の明確化、購入促進
取引先グリーン調達への対応
環境リスク回避環境法規制対応、環境事故、緊急時対策徹底
デメリット資金負担 コンサルティング費用
審査費用
定期審査/更新費用
作成負荷の増大構築/文書作成担当者のマンパワー
運用負荷の発生担当者、従業員の記録作成作業



6.国、自治体の取り組み状況
    (1) 国、地方自治体の取得状況

      国や各自治体とも取得に熱心であり、各自治体へのアンケートによると右図のとおり、数年のうちにほとんどが取得する勢いである。



      地方自治体のISO14000導入予定    

    (2) 取得企業への直接的恩恵

      1) 国 : 建設省発注工事に対するISO9000取得義務付け工事はあるが、ISO14000に対してはない。

      2) 地方自治体 :
      右図に示す自治体へのアンケートによると、各自治体ともISO14000取得企業に対する何らかのインセンチティブを与える事を考えている。現状での施策は以下のようなものがある。
      【東京都】 建設工事、物品買入れに関し、ISO9000と14000の認証取得企業に対し、格付けの点数を3〜5%増しとする。
      【神奈川県】 H12年度よりグリーン調達開始。
      取得企業へのインセンティブの供与    
      自治体のISO14001取得状況はISOワールドに出てます。